年が明けた。
まだ、誰にも言っていない話をしよう。
年末に帰省したタイミングで両親が離婚していた。離婚したのではなく、離婚していたのである。大変にウケた。私が知らない間に、戸籍から母親が抜けていたのだ。弟も知っていて、知らなかったのは私だけだった。離婚した理由は、大変あっけないもので、こんなことで?と思う反面、遅かれ早かれいつかはこういうことになるものだと思っていたので、大した驚きもなかった。ずいぶん前から、母が半分父から逃げるために、祖母の介護で、車で5分もかからない祖母の家に引っ越していた。今年は、弟も実家を出るので、きっとあの家にしばらくは訪れることもなくなるのではないかと思っている。父は、まともな部分もあるけど、まともじゃない部分もある人間で、自業自得としか言いようがないと思っているけど、別に父のことが嫌いでもないのでなんとも言えない気持ちである。
小さい頃は、家族はもっと特別なものだと思ってた。血のつながりをもっと信じていたし、不安定なところもあるけど、なんだかんだ年に数回は遠出したり、学校帰りにみんなで食事に行ったりしあわせだと思う営みがあった。父や母を心の底から嫌ったことはないけど、どうしても家族や祖父母と一緒にいると苦しいことがあって、これ以上嫌いになりたくないという気持ちから、18で家を出た。どんなに大切に想っていても、分かり合えないことだってあるんだと思った。私が家を出て数年で家族はバランスを崩していったと思うし、自分がまだ実家にいたら、きっと両親は離婚していなかったんじゃないかと思う。憶測でしかないけど。こうなってしまってから、自分にとって家族がどれほど心の支えになっていたのかを知った。べつに絶縁したわけでもないし、これまで通りなにも変わらないよと母は言ってたけど、私の中にあったしあわせな記憶は、継続されていくものではなくて、一旦ここで区切られてしまったのだ。わたしは、ひとりぼっちじゃないって知っているけど、どうしてもここ数日は、ひとりぼっちのように感じている。東京に戻ってきて、平気な顔をして仕事をしているけど、ぜんぜん平気ではない。
わたしは、この事実に抗おうとしているのではない、この事実に消耗されてしまっているだけだ。もう少し、消化するのに時間がかかると思う。そのときは、また思うことも変わっているだろうけど、今は今で残しておこうと思う。