ハートはかわいい気持ちのときに使うものだよ

この夏のこと

 

完全な社会人になってから、はじめての夏だった。

夏休みのない8月。別にそこまで苦しくなかったが、Instagramをみれば同い年の友人らが夏を満喫していたので、ちょっとだけ羨ましかった。

社会人といっても、規則的に働くような仕事ではないので、割と長めに夏休みをとらせて頂いた。

 

夏休み前日は、前の職場で一緒だった留学生の友達が帰国するので、前の職場の送別会に図々しくも参加した。辞めてから少ししか経ってないのに、もういろんなことが変わってしまったような気がして少し寂しかった。もうここに居場所はないって思った。そういう生き方と考え方なのだ。留学生の友達は、たくさんハグをして帰っていった。わたしも日本に生まれてなかったら、こんなに卑屈じゃなかったかもって思ったけど、どこで生まれても一緒だよなとすぐに考えを改めた。朝の山手線は、人がたくさんいてわたしだけが世界に馴染めてないような気がしたけど、朝日が眩しかったのですぐにどうでも良くなった。

 

帰って少し仮眠をして、京都に住んでる友だちと遊んだ。

タフだと思う。六本木で焼肉。おいしい。

いろんなことを話して、友達をライブの会場まで送って行って、近くの商業施設の屋上でママと電話をした。流石に夕方になったら眠かった。商業施設に入っていた大好きな丸善で、展開されていた高瀬隼子の『犬のかたちをしているもの』と藤崎沙織の『ざくろちゃん、はじめまして』を買った。本にお金を使うことは、気分がいい。帰ってきて、買った本を読んで寝た。

 

起きて、急いでパッキングして東京駅に。

Twitterで東京駅が帰省ラッシュで大混雑という投稿をみてたので、ドキドキしながら向かったが全然大丈夫だった。バスの時間がギリギリで大急ぎでコンビニで飲み物を買ったけど、買ったものを置いてきてしまうという激ヤバ行動をかましてしまった。こういうことを人に言うと、馬鹿にされがちで、そんなこと自分が1番わかってるよと落ち込むのでなかったことにした。地元に帰ってきて、家族に1番最初に会う瞬間が1番幸せかもしれない。ここが夏休みのハイライト。

 

実家に帰省して1日目は、母とハワイアンズに。母はわたしがハワイアンズに行きたがってたことを知っていてくれて、連れてってくれた。こういう優しさが泣ける。なんでハワイアンズなのかと思うかもしれないが、ハワイアンズは楽しい思い出がたくさんある場所なので、よく思い出してはまた行きたいと数年前からぼやいていたのだ。数年ぶりのハワイアンズは、子供がたくさんいて、また場違いだと思った。21さいと53さいの女二人組は1組も見かけなかった。小さい子どもをみると最近は、できるだけ辛い思いをしないで幸せに生きてねって思う。夜は課金して、ショーをみた。すごく良かった。色々考え深かった。わたしは人が前向きになったり、楽しい気持ちになるようなことがすごく好きだと思った。帰りも母の運転で帰った。といっても、わたしは運転免許を持っていない。運転してあげたいなって思う。

 

次の日は、昼に起きてギターを弾いた。田中ヤコブにハマってる。やさしい。

夕方から仕事のリモート会議に出て、そのあとは地元の友だちとサイゼリアに行ってそのあとにカラオケに行った。帰りに弟が駅まで、迎えにきてくれて、またわたしは自分だけ遅れているような感じる。いつも、周りと自分を比べてため息をついてばっかりなんだと思う。卑屈日記。

 

それからは、外に出れなくなってしまった。

嘘だと思うかもれないけど、ほんとに外に出られらくなって、家でギターを弾いて犬を触っていたら、もう東京に戻らないといけない日になっていた。父が東京まで車で送っていくと言い出したが、近いわけでもないし、何気に高速バスに乗ることが好きだから、断った。小言を言われた。さようなら。生まれ育ったまち。

 

バスの隣が男の人だった。音楽を聴いてたらあっという間に、東京に着いてた。浅草が見えたら、すぐに東京駅。東京駅の立ち食い蕎麦屋さんで、冷たい蕎麦を食べる。立ち食い蕎麦に行くたびに、崎山蒼志さんが立ち食い蕎麦屋に行くと大人になったと感じるということを話していたのを思い出す。

 

ぼーっとしてたら全てが終わってしまった。

田中ヤコブのTHE FOGを永遠に聴いていた夏だった。

 

何かあるたびにこの曲の一節を思い出す。

 

とどのつまりずっと

バカにされながら

生きていくしかないんだから

 

心の底からそうおもう。